幸福というものは、決して、現在の自分の環境が変わったとか、
あるいは富の程度が変わったからということで感じるものではない。
なぜかというと、幸福というものは客観断定にあらずして、主観の断
定にあるからです。はたからどんなに幸福そうに見えてもそれは幸福と
は言えないんですよ。本人がしみじみ、ああ、私は幸せだと思えないか
ぎりは、本当の幸福を味わうことは出来ない。
それはちょうど、はたから見て、あの人間は金がありそうだな、と見
えても、本人に金がなければ何もならないでしょう。はたから見て、あの
人間は丈夫そうだな、と見えても、本人が丈夫でなければ何もならないのと同じことです。
はたから見て、どんなに幸福そうに見えても、あなた方の精神生命の
あり方が、根本的に切り替えられないかぎりは、幸福は来ないのであり
ます。
書籍『ほんとうの心の力』より(PHP研究所刊/中村天風財団編)https://books.tempukai.or.jp/recommend/98























